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ゲーム会社とロボット会社が同じ技術を求め始めた
クラフトンとソウル大学大学院の協同課程人工知能専攻は、10月8日にソウル大学で共同研究の発足式を開いた。両者は今後3年間、ワールドモデル分野の個別研究課題に取り組むと発表した[1]。ワールドモデルとは、AIが現在の状況を理解し、ある行動を取った後に周囲の環境がどう変わるかを予測、シミュレーションする技術である。両者は、ゲーム内の仮想環境とロボットが動く現実の環境の双方に必要な予測と判断の技術を研究する。
研究課題は三つある。長い映像でも空間や物体の見え方を一貫して保つワールドモデル、ゲーム内の動作データを使って人と周囲の物体の動きを自然につなぐ技術、そして仮想シーンを使い、AIが通路の幅や物体までの距離といった空間情報を実際の判断根拠にしているかを検証する研究である。各課題の成果を評価するベンチマークも併せて開発する[1]。クラフトンは昨年、米国にロボティクス研究法人を設立し、今年2月には韓国法人も設立した。クラフトンの最高AI責任者(CAIO)、イ・ガンウクは「ゲームを通じて培ってきたシミュレーションと仮想世界の構築能力は、ワールドモデル研究の重要な基盤である」と述べた[1]。
ロボット分野でも同じ能力が求められている。マウムAIのWoRVチームは、10月7日から31日までシミュレーションエンジニアを募集している[2]。求人の「求める人物像」には、「ゲームやグラフィックスで培ったエンジニアリング能力を、ロボットとPhysical AIへ広げたい方」とある。その6日後の10月13日、産業通商部の産業融合規制特例審議委員会は、マウムAIが天安市内の川沿いの遊歩道や公園で、自律走行する4足歩行巡回ロボットの実証運行を行えるよう特例を承認した[3]。
同じ会議では、ロブロスが半導体(ネペス)、自動車(ソンウハイテック)、造船(HD現代三湖)、物流(デリバリーラボ)の現場に、AIを搭載した2足歩行ヒューマノイド20台を投入する実証特例を認められた[3]。これまで産業用ロボットは固定式を前提として、安全柵で囲む必要があった。そのため、人と同じ空間を移動しながら働くヒューマノイドは現場に入れなかった。政府は雇用労働部のリスク評価と安全措置を条件に、今回の実証を認めた。
必須条件にはエンジン、歓迎条件にはロボットが並ぶ
マウムAIの求人にある応募資格の四つの行には、ロボットという言葉が出てこない[2]。求められるのは、C++とPythonによる大規模ソフトウェアの開発と性能最適化の能力、物理エンジンやレンダリングエンジン、ゲームエンジン、3Dシミュレーターの開発または拡張経験、3Dの数学と剛体力学またはレンダリングパイプラインへの深い理解、そして未知のコードベースを素早く把握し、精度、性能、保守性の間で何を優先するか判断する能力である。
ロボット関連の経験は歓迎条件に入る。ROSやROS 2との連携、シミュレーションで学習した方策を実機へ移すSim2Real、強化学習(RL)や視覚言語行動(VLA)モデルを評価する環境の構築経験が挙げられている。そのほかの歓迎条件は、再びエンジンに近い。PhysXやMuJoCoなどの物理エンジンの改修、FEMやMPMなどによる変形体シミュレーションの実装、CUDAやVulkanを使ったGPUプログラミングとリアルタイムレンダリングの最適化、Isaac SimとOmniverse Kitの拡張機能、USDを基盤とする大規模シーンの設計経験である[2]。
一般的なロボットエンジニアへの道と比べると、順序が逆である。ロボットエンジニアの採用では、専門分野を問わず、制御、ロボット運動学、コンピュータービジョン、ROSなどのロボットミドルウェアの経験が共通して求められる。この求人は、ゲームやグラフィックスで培ったエンジンの技術力を先に求め、ロボットの知識を歓迎条件としている。
環境を作り、データを生み、現実との差を測る
求人に記された主な業務の六つの行を順に読むと、仕事の範囲が見えてくる[2]。最初は環境構築である。Isaac Sim上に現実に近いシミュレーション環境を作り、シミュレーションにそのまま投入できる3Dアセット(SimReady asset)を制作する。3D制作ツール(DCC)とつながるアセットパイプラインや社内ツールも開発する。物理エンジンが標準では扱えない現象は、自ら実装する。求人では、積もった雪のように連続体力学で計算する必要がある素材を例に挙げている。
次は大規模なデータ生成である。物理計算、レンダリング、センサー、データのシリアライズで生じるボトルネックを減らす。画面を表示せずに(headless)複数のシミュレーションを同時に動かし、大量のデータを生成する環境も構築する。シミュレーター、ロボット用ソフトウェア、AIモデルをつなぐ低遅延の通信接続も開発する。
最後は検証である。ロボットをモデリングし、照明や材質などの条件を意図的にランダムに変えるdomain randomizationを適用して、ベンチマークを作る。これにより、シミュレーションで学んだ動作が実機でも通用するかを評価できるようにする[2]。クラフトンとソウル大学の研究も、課題ごとにベンチマークを開発する[1]。仮想環境をうまく作ることと同じくらい、その環境が現実とどれほど異なるかを数値で測ることも、この職種の役割である。
ゲーム開発者、大学院生、ロボットエンジニアにはそれぞれ違う入り口がある
ゲームやグラフィックスのエンジニアにとっては、今使っている道具がそのまま入り口になる。物理エンジン、レンダリングパイプライン、GPU最適化、シェーダーは、マウムAIの求人の必須条件と歓迎条件に並んでいる[2]。シミュレーション環境やアセットの制作から始め、大規模データ生成の基盤を担当し、その後Sim2Realの評価やベンチマーク設計へ広げていく流れは、求人に示された業務範囲と合っている。ROSは歓迎条件である。独学で準備するなら、小さなロボットシミュレーションを一つROS 2につなぐことで、応募書類で不足する経験を補える。
大学院生には研究から入る道がある。クラフトンとソウル大学は、共同研究センターで成果交流会と学生インターンシップを実施し、新たな共同研究課題も発掘することにした[1]。発足式の報道には、インターンシップの募集時期や人数は記されていない。10月16日時点で、クラフトンのAI Research本部の採用ページには、ゲーム環境で画面、テキスト、ゲームの状態を入力として受け取り、行動を出力するVLAエージェントを研究するエンジニアインターン(6か月)の求人が掲載されている。応募者は、人工知能、コンピューターサイエンス、または関連技術分野の修士課程か博士課程に在籍している必要がある[4]。
ロボットエンジニアは反対側から入る。制御と運動学を理解し、ROS 2との連携経験があれば、その経験は歓迎条件にそのまま当てはまる。補うべきはエンジンの知識と技術である。物理エンジンが接触や摩擦をどう計算するのか、レンダリング設定がカメラセンサーのデータにどう影響するのかを説明できてこそ、シミュレーションと実機の間に生じる差を指摘できる。マウムAIの求人は10月31日に応募を締め切る[2]。
参考
[1] 電子新聞。クラフトン、ソウル大学とワールドモデルを共同研究、ゲームを越えてロボティクスへAIを拡大(韓国語)。2026-10-08。
[2] Linkareer。マウムAI WoRVチームのシミュレーションエンジニア募集(韓国語)。応募期間 2026-10-07~2026-10-31、2026-10-16確認。
[3] 聯合ニュース。産業通商部の第6回産業融合規制特例審議委員会によるヒューマノイドと巡回ロボットの実証特例に関する報道(韓国語)。2026-10-13。
[4] クラフトン。AI Research本部の研究エンジニア募集:視覚言語行動ゲームエージェント(韓国語)。2026-10-16確認。