""Fight for the things that you care about, but do it in a way that will lead others to join you." (From Harvard speech)"
彼らの物語
想像してみて。ブルックリンの質素なアパートの一室に、若い女性がいる。本は要塞のように積み上げられ、窓の外からは街のざわめきが聞こえてくる。彼女の名前はルース・ベイダー・ギンズバーグ。このあと彼女を待っているのは、心が折れてもおかしくないほど理不尽な経験だった。でもそれは、何があっても揺るがない強さを育てる経験にもなる。
ルースは労働者階級の家庭で育った。何かが簡単に手に入るわけではなく、欲しいものは努力してつかむしかなかった。自分の将来がかかっているという思いで勉強した。実際、その通りだったからだ。やがて進んだロースクールの教室には、疑いの空気が漂っていた。疑われていたのは法律ではなく、彼女自身。女性であり、母親でもあるルースは、多くの人が思い描く「一人前の弁護士」の姿とは違っていた。
そこからは、いくつものことを同時にこなさなければならない、誰でも手が震えそうな毎日が始まる。ルースはロースクールで学びながら、生まれたばかりの子どもを育てた。ほかの学生が家で静かな夜を過ごすころ、彼女を待っているのは、おむつ替えと深夜の読書。そして、自分にもここで学ぶ資格があると証明し続けなければならない重圧だった。それでもルースは前へ進む。朝早く起き、刃のように鋭く集中した頭で、訴訟の準備を丹念に重ねた。世の中の騒がしさに疲れたときには、オペラを聴くと不思議に心が落ち着いた。
ハーバード大学で学んだ後、ルースはコロンビア大学を首席で卒業する。それなら、進路は大きく開けると思うよね。ところが、届くのは不採用の手紙ばかり。女性だからという理由で、十の法律事務所に断られた。十もだ。どれだけ優秀でも「十分ではない」と言われたら、君ならどうする?
ルースは怒りを爆発させなかった。諦めもしなかった。次にどう進むかを考え直した。
大きな転機が訪れたのは、1972年。ルースはアメリカ自由人権協会(ACLU)の女性の権利プロジェクトの共同設立に携わる。法廷に立つ彼女は、弁護士であると同時に、戦略を練る人でもあった。性差別をめぐる六つの訴訟で弁論を行い、チェスで何手も先を読むように、古いルールの中に新しい道を切り開いていく。少しずつ、法律が変わり始めた。
それから時が流れ、1993年。国中が見守るなか、ルースはアメリカ連邦最高裁判所の判事に就任する。その席に就いた女性の先駆けの一人となった彼女の姿は、粘り強く歩み続ければ、偏見を乗り越えられることを示していた。
彼女の助言に耳を傾けると、暗闇に明かりがともるように感じられる。「自分が大切だと思うもののために闘いなさい。ただし、ほかの人も一緒に闘おうと思えるやり方で」。成功した女性たちの人生を読んでみなさい、と彼女は言う。歩みを止めないこと。最後に力になるのは、粘り強さなのだから。
学んでいる君も、夢を追いかけている君も。世の中から「だめだ」と言われたとき、それを終わりにする? それとも、君自身の伝説の始まりにする?
学生へのアドバイス
「成功した女性たちの伝記を読みなさい。最後に勝つのは、粘り強く続ける人です」




